ホームラン数が激減した統一球問題

統一球とは、プロ野球で使用するボールの規格を統一したものを指します。
かつては球団ごとに異なるボールを使用していましたが、公平性を保つために統一された経緯があります。
日本のプロ野球(NPB)では、2011年から「統一球」が導入されました。
統一球導入の目的は、国際基準に合わせること
でした。日本のプロ野球は、世界大会(WBCやプレミア12)で使用するボールと国内リーグのボールの性質が異なっていたため、国際試合で日本の選手が対応しづらいという問題がありました。
そこで、国際基準に近いボールを使用することで、日本の選手が世界でも対応できるようにするという狙いがありました。
統一球の導入により、最も大きな変化があったのは「ホームラン数の減少」です。それまで年間を通じて多くのホームランが生まれていた環境から一転し、統一球の影響で一気に本塁打が減少しました。
それまで、日本のプロ野球では年間を通じて平均100本以上のホームランを打つチームも珍しくありませんでした。しかし、統一球導入後は、チームの総本塁打数が半減するようなケースも見られました。
特に、パワー型の打者にとっては大きな打撃であり、以前であればスタンドインしていた打球が外野フライで終わるという場面が多発しました。
この影響により、打撃成績全体も低下しました。例えば、統一球導入直後のシーズンでは、リーグ全体の打率が下がり、得点力の低下が顕著になりました。
特に、打撃を売りにしていたチームや選手にとっては、成績が悪化し、契約更改や年俸にも影響が出る事態となりました。
統一球以降、ボールの反発係数(ボールがどれだけ弾むかの数値)が大きく注目されるようになりました。反発係数が低いと、ボールが飛びにくくなり、長打が減少します。
逆に、反発係数が高いと、ボールがよく飛び、打者に有利な環境になります。
そのため、多くの選手が「ボールが飛ばない」と訴えました。特にホームランを狙う長距離打者にとっては、これまでのバッティングが通用しなくなるため、大きな問題となりました。
反発係数のわずかな違いが、選手の成績やキャリアに直接影響を与えるため、この問題は非常にデリケートな問題となりました。
また、投手にとっても、ボールの性質が変わることは重要な問題です。反発係数が低いボールでは、投手はより強気に攻めることができるため、防御率が改善するケースが多く見られました。
しかし、逆に反発係数が高くなると、今度は投手に不利な環境となり、慎重なピッチングが求められるようになります。